新編日語(yǔ)第四冊(cè):第四課 早く早く1

字號(hào):

本文
     軒を並べる本屋にさまざまな雑誌がある。月刊誌、季刊誌。特に多いのは月刊誌であるが、たいてい実際より早く出る。十月號(hào)が出るのは十月でなくて九月である。時(shí)には八月のうちに出たりする。中の記事はすべて十月にふさわしい記事である。「十月の料理」「秋のおしゃれ」「スポーツの秋」「読書(shū)の秋」等等。読み終わって目をあげると、真夏の太陽(yáng)がギラギラと光っている。テレビのコマーシャルも早め早めに出る。まだ暑いうちから、「そろそろ寒くなりますから、暖房器具のご用意を」と呼び掛ける。正月が終わるやいなや、ひな人形の宣伝が始まる。マスコミが四季の移り変わりを早め早めに教えている。現(xiàn)実の季節(jié)とマスコミの季節(jié)と、二つの季節(jié)を同時(shí)に経験する生活は、精神的にいそがしく、疲れる。
     ある心理學(xué)者の調(diào)査によると、母親が幼児に対して使う言葉で最も頻度が高いのは「早く」だそうである。「早く起きなさい」「早く食べなさい」「早く著がえて」「早く帰るんですよ」と母親は幼児を急き立てる。今や幼児だけでなく、成人までマスコミの「早く早く」にせき立てられている。「急がないで、ゆっくり」という聲を耳にすることはあまりも少ない。
    會(huì)話(huà)
    (一)
    知人の會(huì)話(huà)。電車(chē)のフラットホームで出會(huì)った男女。Aは男、Bは女。
    A それ、何の雑誌ですか。
    B あ、これ、料理の雑誌です。
    A おいしそうな料理の寫(xiě)真がたくさんのっていますね。
    B ええ、きれいでしょう?
    A 十一月の料理——え、まだ九月の終わりじゃありませんか。
    B そうですね。でも、雑誌ってみんな早く出ますからね。
    A それにしても、ちょっと早すぎますね。
    B そうですね。
    A あまり早いと、実際と合わないじゃないでしょうか。
    B そうですね。おしゃれの記事なんか、変に感じることありますよ。
    A たとえば?
    B 少し涼しくなったと思うころ、毛皮のコートの寫(xiě)真がのっていたり。
    A なんだか宣伝にせき立てられてるみたいですね。
    B ええ、テレビのコマーシャルもそうですものね。
    A そうそう、お母さんが小さい子供に言う言葉で、一番よく使うの、何だと思いますか。
    B さあ……
    A 「早く」だそうです。
    B そういえば、母親ってよく小さい子供に「早く早く」って言いますね。
    A ぼくも子供のころよく言われたと思いますよ。
    B わたしたち、子供のころからせき立てられるのになれてるのかも知れませんね。
    A そうですね。あ、電車(chē)が來(lái)ました。
    B いまにアナウンスがありますよ、「お早くお乗り下さい」って。
    A そうですね。急ぎましょう。
    (二)
    夫婦の會(huì)話(huà)。それぞれ新聞を読んでいる。
    妻:あら、これ、見(jiàn)て。
    夫:なに。
    妻:これ、これ。
    夫:この冬の暖房器具、お買(mǎi)い得……。
    妻:ええ。
    夫:まだ涼しくなったばかりじゃないか。
    妻:でも、もういろんな冬のもの宣伝してるわ。テレビなんもっと前からよ。
    夫:冬はまだまだ先だよ。
    妻:まだ早いからといって、買(mǎi)って損をするわけじゃないでしょ。くさる物じゃないんですもの。
    夫:そりゃそうだけど、あとになったら、もっと安くなるかも知れないよ。
    妻:安くなるかも知れないけど、いい物がなくなってしまうかも知れないわ。
    夫:この前もそう言ってワンピース買(mǎi)ってあとで安くなったといってがっかりしてたじゃないか。
    妻:あれは例外よ。
    夫:とにかく、宣伝にのせられるのは損だよ。もう少し待とうよ。
    妻:急に寒くなったらどうするの。
    夫:そのときはがまんするさ。
    妻:そう。じゃ、厚いセーターでも買(mǎi)っておこうかしら。
    夫:ぼくもほしいな。
    妻:いえ、我慢強(qiáng)い人はいらないでしょ。