2016年日語能力考試等級N1閱讀模擬題

字號:

同じ一つの事柄でも、表現(xiàn)のしかたで大いに印象が異なってくる。學生たちに、「私たちの人生はたかだか100年、短いものだ」と言っても同意の反応はない。100は小さい數(shù)だが、「年」は長いと感じているから、100年は短くないのだ。しかし、「私たちの人生はたかだか30億秒、短いものだ」と言い換えると「おや!そうだなあ」という顔つきになる。目の前を刻々と流れる「秒」という時間は極めて短いから、30秒という大きな數(shù)でも相殺できないからだろう。(中略)
    どんな話題でも、數(shù)字を挙げると正確そうに見えるが、その數(shù)と単位の組み合わせによって、わかりやすくも、わかりにくくもなる。その使い分けに十分注意する必要がある。數(shù)字が出された根処とともに、數(shù)の単位に注意しておかないとごまかされることがあるからだ。実感を伴わない巨大な數(shù)か、いかにも大したことがなさそうな小さな數(shù)字で煙に巻いてしまう手口が、よく使われている。
    交通事故數(shù)を例にとってみよう。日本では、1年で約1萬人が交通事故で亡くなっている。好調(diào)阪神で満員になった甲子園の観客5人に1人が(つまり、あなたの前後左右の誰かが、いやあなた自身かもしれない)1年のうちに亡くなり、5年で観客がゼロになるくらいの多い數(shù)である。しかし、1日にするとほぼ30人で、それを1つの都市にするとゼロか1人だから、「今日の交通事故數(shù)」が警察署前に掲示されても人々は大きな數(shù)とは思わない。つまり、あの掲示は、交通事故の恐ろしさを伝えているのではない、逆に交通事故は少ないのだと安心させており、かえって事故を増やす効果になっていると言えるだろう。
    去年、戦後の交通事故の死者総數(shù)が50萬人を超えたという報道があった。日本は、事故から24時間以內(nèi)の死者しかこの総計に入れないが、國際的に主流となっている30日以內(nèi)の死者數(shù)とすると60萬人を超えるだろう。この數(shù)は靜岡市や新瀉市のような地方中核都市の人口に匹敵し、それだけの數(shù)の人々がすべて交通事故で姿を消してしまったことを意味する。このように積分すると「交通戦爭」という言葉が実感できる。警察署の前には、せめてこの累積死者數(shù)が掲示されてしかるべきだと思う。
    クルマ社會の異常さを感じている私だから交通事故數(shù)を話題にしたのだが、このような數(shù)字のトリックはどこにでもころがっている。なぜそのような數(shù)字としては発表してのかを考え、発表者の意図を見抜くことが大事だと思う。
    問1「大いに印象が異なってくる」とあるが、たとえばどのように異なるのか。
    1)100年と30億秒は同じ長さなのに、30億秒と言うと長く感じる。
    2)100年と30億秒は同じ長かなのに、30億秒と言うと短く感じる。
    3)100年と30億秒は異なる長かなので、30億秒と言うと長く感じる。
    4)100年と30億秒は異なる長さなので、30億秒と言うと短く感じる。
    問2「いかにも大したことがなさそうな小さな數(shù)字」の例は、次のどれか。
    1)一年間に交通事故で死亡した人の數(shù)。
    2)甲子園に野球を見に來た観客の數(shù)。
    3)自分か自分のとなりにいる人が死ね確率。
    4)警察署の前にある「今日の交通事故數(shù)」。
    問3「あの掲示」とあるが、それにはどのような問題があると筆者は考えているのか。
    1)警察署がある地域では交通事故が少ないから、心配しなくてもよさそうだと思わせていること。
    2)掲示されている交通事故の數(shù)があまりにも大きいので、かえってその現(xiàn)実が実感で。きないこと。
    3)掲示は交通事故が少ないという印象を與え、事故を減らす効果を上げていないと思われること。
    4)交通事故の恐ろしさよりむしろ、自分が事故にあわなかったという安心感を與えてしまうこと。
    問4「このような數(shù)字のトリック」とあるが、どのようなごまかしか。
    1)人生の長さを述べてから交通事故の問題に論を展開すること。
    2)部分的な數(shù)字だけを見せて、全體の數(shù)をわかりにくくすること。
    3)野球の観客數(shù)を使って、交通事故の死者數(shù)を説明すること。
    4)國內(nèi)の數(shù)字だけ見せて、國際的に比較した數(shù)字を見せないこと。
    問5 交通事故の死者數(shù)の示し方について、筆者はどうすれば最もよいと考えているか。
    1)警察署の前に掲示してある交通事故數(shù)には真実を書いた方がよい。
    2)警察署の前の交通事故數(shù)は役に立っていないので掲示しない方がよい。
    3)警察署の前には戦後の交通事故による死者數(shù)の合計を出した方がよい。
    4)警察署の前の交通事故數(shù)には、事故から30日以內(nèi)の死者數(shù)を出す方がよい。
    問6 戦後の日本の交通事故による死者數(shù)について、筆者はどのように感じているのか。
    1)「戦爭」と言ってもいいほど死者が多い。
    2)一都市では1日ゼロか1人だから、少ない。
    3)50萬人では多くないが、60萬人は多い。
    4)國際的に比べても、人口の割りには少ない。
    問7 筆者は數(shù)字を使った説明について、どのように考えているか。
    1)數(shù)字を使った説明にはごまかされやすいので、信用してはならない。
    2)數(shù)字は単位によって受け取り方が異なるので、説明には使わない方がよい。
    3)たとえ正確にみえる數(shù)字でも、それの持つ意味を注意深く読みとるべきである。
    4)けいさつが発表した數(shù)字でも、ごまかしもあるので、資料としては使わない方がよい。