天聲人語08年07月05日

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無常螢光,無常世
    はかなげではあるが、ホタルの光はどこか艶めかしい。水のほとりで、ひそやかに明滅して揺らぐ。せせらぎを包み込むように夏の闇は深く、人の姿はシルエットに沈む。〈ゆるやかに著てひとと逢(あ)ふ蛍の夜〉桂信子。 
    螢火蟲的光亮雖然變幻無常,卻有幾分美艷。它們忽明忽滅的悄然舞動于水畔。夏夜一片漆黑,仿佛要把潺潺水聲包裹一般;人的輪廓淡成剪影?!拔灩恻c點長夏夜,輕著羅裳把君會”(桂信子 作)。
    ホタル前線、と近年は呼ぶそうだ。夏の深まるなか、ホタルの初見が列島を北上していく。4月の沖縄に始まり、5月末に京都を過ぎて、今は本州の最北あたりか。巖手·宮城內(nèi)陸地震の被災地でも、淡い光が飛び交っていることだろう。
    據(jù)說近幾年有一種叫“螢前線”的(螢火蟲初次出現(xiàn)預測等期日線)。隨著夏季日漸加深,螢火蟲初次觀賞區(qū)域將會沿日本列島北上。四月從沖繩開始,五月底過京都,現(xiàn)在已到本州最北一帶了吧。巖手·宮城內(nèi)陸地震的災區(qū)想必也有淡淡的螢光穿梭飛舞吧。
    高度成長の時代には、開発や農(nóng)薬に追いつめられた。夏になっても光は飛ばず、「ホタル狩り」は死語になった。やがて、反省をこめて保護活動の燈がともる。かいあって各地で、里山の原風景がよみがえっている。 
    經(jīng)濟高速增長時代,螢火蟲被開發(fā)建設和農(nóng)藥逼得走投無路。即使到了夏季,也不閃爍發(fā)光,“捕螢觀螢”(譯注:俳句的夏季季語)這個詞已經(jīng)無人再用了。隨后不久,人們經(jīng)過認真反省,點起了螢火蟲保護活動之燈。各地競相培殖,鄉(xiāng)間山野的原有風貌才又得到恢復。
    ホタルの里をつくろうと交流する「サミット」もある。毎年開かれ、今年は山口県下関市に6市町が集まった。幻想的なゆえだろう。古人はホタルを人の魂になぞらえてきた。參加した自治體も「人のひかり」と「ホタルのひかり」の共存をめざすそうだ?!?BR>    每年還會有人舉辦“高峰會談”,目的是交流如何打造“螢火蟲部落”。今年的會議是在山口県下関市召開的,有六個市鎮(zhèn)參加。想必是出于幻想之故吧,古人一直把螢火蟲比喻為人的靈魂。據(jù)說,與會的自治團體也是以實現(xiàn)“人之光”與“螢之光”和諧共存為宗旨的。
    「蛍」と題する巻が「源氏物語」にある。光源氏がホタルをたくさん捕らえてきて、姫君のいる暗がりへ放つ。その明かりで姫の橫顔を浮かび上がらせる――.ホタルの光で読書に勵んだ中國の故事に比べ、わが平安貴人は雅(みやび)そのものである。 
    《源氏物語》中有以“螢”為題的篇章。光源氏捕來很多螢火蟲,將之放飛于姫君身處的黑暗中,繼而借螢光勾勒出姫君的面部側影?!啾扔诮栉灩饪嘧x的中國典故,我們?nèi)毡酒桨矔r代的顯貴則是風雅十足。
    ホタルの語源には、「星」と「垂る」が合わさったという説もあると聞く。夜の川面 に亂舞する図は、なるほど天の川を想像させる。はかない星々は、私たちに、地球のはかなさを語りかけているようにも思われる?!?BR>    有人說螢火蟲這個是由“星”和“垂”兩個詞組成的。(譯注:“螢火蟲”的日語發(fā)音為“ホタル”:“星”的日語發(fā)音為“ホ”, “垂”的日語發(fā)音為“タル”。)夏夜的河面,流螢歡舞的景象,的確讓人聯(lián)想起天上銀河。這些變幻無常的“星星”讓人感覺象是在向我們講述著地球的變幻無常。
    ゆるやかに著てひとと逢ふ蛍の夜:
    作者の代表的な句です。
    揚げ句は、蛍見物に誘われた夜、浴衣をゆるやかに著て逢いにいきました、と詠んでいます。
    「ゆるやかに著て」は、洋服でなく、やはり浴衣ですね。そして「ゆるやかに」の言葉には、作者の身も心も逢い引きの相手を許していることを暗示しています。今宵は何かあってもかまわないという思いですね。
    もしかしたら、プロポーズされるかも知れないという期待に胸を膨らませているのかも知れません。
    「ひとと逢ふ」だけですから、逢ったかどうか解らないのですが、まだ逢う前と解釈したいです。
    「蛍の夜」だから艶やかな情緒が漂っているんで、これが「花火の夜」だと艶めいた色気は、すっ飛んでしまいます?!袱妞毪浃酥啤工趣いΡ憩F(xiàn)も、人混みで蒸し暑いかは風通し良く緩く著ていると解釈されてしまいます。
    ですからこの句の「蛍の夜」が効果的に生きているんですね。